ポケットコイルは「柔らかめのマットレス」と説明されることがありますが、ポケットコイル=柔らかめと決まっているわけではありません。
ポケットコイルは、コイルの線径・配列・ゾーニングだけでなく、その上に重ねるウレタンやファイバーなどのクッション層でも、硬め・ふつう・柔らかめを作り分けられます。
実際、日本ベッドの同じ「シルキーポケット」シリーズにはソフト・レギュラー・ハードがあり、コイル線径を1.2mm・1.3mm・1.4mmと変えて硬さを作っています。一方、無印良品には1.4mmのポケットコイルへ低反発ウレタンを組み合わせ、「やわらかめ」としている現行商品があります。
つまり、硬め・柔らかめを選ぶときは「ポケットコイルだからどうか」ではなく、コイル側の支え方と、表面側の沈み込み方を分けて見るのがポイントです。
ポケットコイル自体に「硬め・柔らかめ」がある
ポケットコイルは、1つずつ袋に入ったコイルが独立して動く構造です。ただし、独立していることと、完成品の硬さは別の話です。
日本ベッドの現行「シルキーポケット」シリーズを見ると、シングルはいずれも厚さ25cm・コイル数1200個ですが、寝心地を3段階に分けています。
| シルキーポケット | メーカーの硬さ | 主なコイル線径 | シングルのコイル数 |
|---|---|---|---|
| ソフト | やわらかめ | φ1.2mm | 1200個 |
| レギュラー | ふつう | φ1.3mm | 1200個 |
| ハード | かため | φ1.4mm | 1200個 |
このシリーズでは、厚さとシングルのコイル数をそろえながら、コイルの線径を変えて寝心地を作り分けています。
少なくとも同一設計に近いシリーズ内なら、細い線径ほど柔らかめ、太い線径ほど硬め方向という比較がしやすくなります。
ただし、この関係を別メーカー・別シリーズへそのまま当てはめることはできません。理由は次にあります。
1.4mmコイルでも「やわらかめ」は作れる|表面層が寝心地を変える
コイル線径だけで完成品の硬さを決められないことは、別の現行商品を見ると分かります。
無印良品の「体にフィットするマットレス 超高密度ポケットコイル」は、線径1.4mmのポケットコイルを使い、表面側に凹凸加工した低反発ウレタンフォームを組み合わせています。無印良品での位置づけは「やわらかめ」です。
日本ベッドではφ1.4mmを使う「シルキーポケットハード」がかため。一方、無印良品では1.4mmコイルを使った商品でも、表面層との組み合わせによってやわらかめになっています。
「1.4mmなら硬い」のではなく、同じシリーズ内では線径差を比較材料にできるが、完成品はクッション層を含めて判断するのが正確です。
購入ページでは、コイル仕様のすぐ上や下にある「詰め物」「クッション材」「コンフォート層」も確認してください。
コイル数が多いほど硬いわけではない
ポケットコイルでは「コイル数」も目立つ数字ですが、数が多いほど硬いとは限りません。
先ほどの日本ベッド「シルキーポケット」は、シングルサイズのソフト・レギュラー・ハードで、いずれも1200個のコイルを使用しています。それでも硬さは3段階に分かれています。
無印良品でも、「高密度」「超高密度」というポケットコイル構造の中に、やわらかめ・ふつう・かための商品があります。
コイル数や「高密度」という表現は、コイルの細かさや配置を知る材料にはなりますが、硬さを単独で判定する数字ではありません。
「コイル数が多いから硬そう」「超高密度だからハードそう」と決めるのは避けましょう。
ポケットコイルの硬さは「表面」と「深部」を分けて試す
ポケットコイルの硬め・柔らかめで迷ったら、店頭では「最初に触れた感触」と「体重を預けた後の支え」を分けて確認すると違いをつかみやすくなります。
最初に触れた感触を見る
横になった直後に感じる柔らかさには、キルト、中綿、低反発・高反発ウレタン、ファイバーなど、コイルより上にある素材が大きく関わります。
「ポケットコイルなのに柔らかい」と感じても、コイル自体が柔らかいとは限りません。表面のクッション層が厚く、ゆっくり沈む設計かもしれません。
体重を預けた後の支えを見る
数分横になり、肩・腰・お尻が沈んだ後に、どの位置で支えられるかも確認します。
表面は柔らかくても、その下のコイルでしっかり止まる商品があります。反対に、最初は張りがあっても、体重をかけると深く沈む商品もあります。
ポケットコイルでは、「触った瞬間の柔らかさ」と「深く沈んだ後の支え」を同じものとして判断しないことが重要です。
柔らかめを選ぶなら「肩が沈むか」だけでなく寝返りも確認する
柔らかめのポケットコイルは、体の凹凸へ沿いやすい寝心地を求める人が比較しやすい選択肢です。
無印良品は、体重が軽めの人や横向き寝が多い人に柔らかめを案内しています。日本ベッドも「シルキーポケットソフト」を横寝をする人、ソフトな寝心地を好む人向けとして案内しています。
ただし、寝姿勢だけで決める必要はありません。柔らかめを試すときは、次を確認してください。
- 横向きで肩が無理なく沈むか
- 腰・お尻だけが深く落ち込まないか
- 仰向けから横向きへ寝返りしやすいか
- 表面の包まれる感触を心地よいと感じるか
- 沈み込みから起き上がるときに負担を感じないか
「肩が沈むから柔らかめが正解」ではなく、肩が沈んだあとも姿勢を変えやすいかまで見てください。
硬めを選ぶなら「沈まないこと」より体が浮いていないかを見る
硬めのポケットコイルは、深い沈み込みを抑えたい人や、しっかりした反応を好む人が比較しやすい選択肢です。
日本ベッドは「シルキーポケットハード」を体格のしっかりした人向けとして案内し、無印良品も体格が大きい人・仰向け寝が多い人にかためを候補として示しています。
一方、硬ければ硬いほどよいわけではありません。
無印良品の選び方では、硬すぎるマットレスについて「身体が浮いて、フィットしていない」状態を示しています。
硬めを試すときは、次を確認します。
- 仰向けで腰の下に大きな隙間ができないか
- 横向きで肩が押し返されすぎないか
- お尻だけが乗り、腰が浮くような感覚がないか
- 寝返りで適度な反発を感じるか
硬さは「沈まないほど良い」のではなく、必要な場所は沈み、必要な場所は支えられるかで判断します。
硬め・柔らかめで迷ったら「ふつう」を基準に前後を試す
自分の好みがまだ分からない場合は、最初からソフトかハードへ決め打ちせず、「ふつう」を起点にすると比較しやすくなります。
IKEAの現行ポケットコイルには、同一シリーズで「ふつう」と「かため」を選べる商品があります。日本ベッドにはソフト・レギュラー・ハードの3段階があります。
試す順番は次のようにするとシンプルです。
- まず「ふつう」「レギュラー」で普段の寝姿勢を取る
- 肩・腰が浮く、表面の当たりが強いなら柔らかめを試す
- 腰・お尻の沈み込みが大きい、反応が遅く感じるなら硬めを試す
- 最後に寝返りと起き上がりまで比べる
体格や寝姿勢は「最初にどちらを試すか」の参考にはなりますが、最終判断は実際の沈み方で行います。
硬さを比較するときは「同じシリーズ」から始めると分かりやすい
別メーカーの「やわらかめ」と「かため」をいきなり比べると、線径・層構造・厚さ・素材がすべて違い、何が硬さの原因なのか分かりにくくなります。
最初は、同じシリーズに硬さ違いがある商品で比較するのがおすすめです。
日本ベッド「シルキーポケット」のように、同じシリーズでソフト・レギュラー・ハードが用意されていれば、硬さの違いを確認しやすくなります。IKEAのVESTERÖYやVALEVÅGなども、現行で「ふつう」「かため」を選べます。
自分が「ふつうより少し硬めが好き」「ソフトだと沈みすぎる」と把握できてから、別ブランドへ広げると商品選びが楽になります。
耐久性は「硬めだから上」とは限らない
硬めのポケットコイルは、しっかりしたコイルやハードな詰め物を採用する商品があります。ただし、硬めという表示だけで耐久性の優劣を決めることはできません。
ポケットコイルマットレスは、コイルだけでなく上層のウレタン・中綿・ファイバー・側生地など複数の部材で構成されています。長く使う条件を確認するなら、次も見てください。
- コイル線径・巻き数など公開されているスプリング仕様
- 表面クッション材の種類と厚さ
- 片面・両面仕様
- メーカーが案内するローテーション方法
- 保証期間と保証対象
「ハードだから長寿命」「ソフトだからへたりやすい」と一括りにせず、商品単位で判断しましょう。
結局どこを見る?ポケットコイルの硬さは5項目で判断
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| メーカーの硬さ表示 | ソフト・ふつう・ハードなどシリーズ内の位置づけ |
| コイル | 線径・巻き数・ゾーニングなど公開仕様 |
| 表面層 | 低反発・高反発ウレタン、ファイバー、中綿など |
| 沈み込み | 肩・腰・お尻が必要以上に浮く/沈む状態がないか |
| 動きやすさ | 寝返り・起き上がりが自然にできるか |
ポケットコイルの硬め・柔らかめは、コイルの太さだけでも、コイル数だけでも決まりません。「コイル側の支え」と「表面側のクッション」を分けて見て、完成したマットレスで判断するのが基本です。
柔らかめが好きなら表面のフィット感だけでなく深く沈んだ後の支えを、硬めが好きなら沈み込みの少なさだけでなく肩・腰が浮かないかを確認してください。迷う場合は、同一シリーズの「ふつう」を基準に前後の硬さを試すと違いをつかみやすくなります。
寝具の感じ方には個人差があります。最終的な商品選びはご自身で判断し、購入前にメーカー・ブランド公式の商品仕様、コイル構造、クッション材、硬さ、使用条件、返品・保証条件なども確認してください。

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